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Bible Studyディレクターの塚本良樹です。山崎ランサム先生の最後のコラムです!みなさんとECでお会いできることを楽しみにしています!!

今週の通読箇所(12/18-20):使徒26~28 or ルカ22~24


ルカが語る福音の物語⑧
「すべての主であるキリスト」

8回にわたって、ルカ文書(ルカの福音書と使徒の働き)について概観してきました。ルカはイエスと教会の物語を、地上における神の救いのご計画の現れとして描いています。そして、そのストーリーは、地中海世界におけるローマ帝国の支配という歴史的現実を背景として展開していきます。

「福音」とは、イエス・キリストを通して神の国、すなわち神の王としての支配が地上に訪れつつあることについての「よい知らせ」です。そのメッセージは、個人の心の問題だけに関するものではなく、地上の現実のあらゆる側面に関わってきます。政治もその例外ではありません。現代のような「政教分離」という考え方は聖書時代の人々にはなかったのです。

ローマ帝国の権力の頂点に立つのは皇帝でした。ローマ皇帝は「主」「救い主」などの称号をもってたたえられ、時には神としてあがめられていました。そのような世界にあって、ルカは帝国の辺境であったユダヤの地に貧しい幼子として生まれ、十字架につけられて死んでよみがえったナザレのイエスこそが世界のまことの王であることを語ります。ルカはローマ皇帝ではなく、このイエスこそが「すべての人の主」(使徒10章36節)だというのです。クリスチャンとは、このイエスを自分の、また世界の主と信じ、従い、宣べ伝える人々のことです。しかし、イエスはローマ皇帝と同じような意味で「王」また「主」なのではありません。イエスは力をもって他者を押さえつけるこの世の支配者とはことなり(ルカ22章25-26節)、いのちを捨てて私たちを愛してくださった王なのです。

ルカの描く福音の物語は、パウロがローマ帝国の首都にたどりつき、皇帝の膝元で神の国(王国)を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えたという描写で終わっています(使徒28章31節)。「神が王であり、イエスが主である」――これはすべての人に与えられた希望のメッセージであり、時代を超えて今日の私たちにも語りかけているのです。


☆さらに学びたい方は山崎ランサム和彦先生のブログへ

鏡を通して - TROUGH A GLASS -

第一回目「ルカ文書への招待 (1)」

第二回目「ルカ文書への招待 (2)」

第三回目「ルカ文書への招待 (3)」

第四回目「ルカ文書への招待 (4)」

第五回目「ルカ文書への招待 (5)」

第六回目「ルカ文書への招待 (6)」

第七回目「ルカ文書への招待 (7)」