Bible Studyディレクターの塚本良樹です。山崎ランサム先生の第六回目のコラムです!

今週の通読箇所(12/4-10):使徒12~18 or ルカ16~18


ルカが語る福音の物語⑥
「教会のルーツを明らかにする物語」

今回は、ルカ文書が書かれた目的について考えてみましょう。ルカ文書は簡単に言うと、イエスから始まる教会の歴史を記した書であると言えます。しかし、なぜルカはテオピロのために教会の歴史を書く必要を覚えたのでしょうか?

以前のコラムでも書いたように、著者のルカも、その読者のテオピロもおそらく異邦人クリスチャンであり、彼らが属していた教会も異邦人クリスチャンが多かったと思われます。どのような個人や共同体にとっても、自分たちが何者であるのかというアイデンティティの問題は重要ですが、異邦人クリスチャンにとって、このことは特に大きな問題だったと思われます。彼らが信じていた唯一の神はイスラエルの聖書が教え、ユダヤ人たちが礼拝している「アブラハム、イサク、ヤコブの神」でした。また彼らが救い主として信じていたイエスもユダヤ人であり、イスラエルのメシヤだったのです。

要するに問題は、なぜユダヤ教に改宗してもいない異邦人がユダヤ人の神を礼拝しなければならないのか?ということでした。異邦人クリスチャンがユダヤ人クリスチャンとともに、イスラエルの神の民とされた、ということにはどういう意味があるのでしょうか?これは21世紀に生きる私たちにとっても切実な問題です。

ルカ文書はこのような問いに答えようとして書かれました。教会のアイデンティティは、そのルーツ(起源)を明らかにすることによって確立されます。ルカはエルサレムに誕生した教会がどのように民族的な垣根を超えて福音を異邦人に伝えていったかを描いていきますが、その教会の働きはイエスの働きの継続であることが示されます。そしてそれはさらに、旧約聖書に記されているイスラエルの物語とつながっていきます。

ルカ文書は、異邦人クリスチャンを含む教会のルーツを説明し、神が歴史の中で展開してこられた救いのご計画の中で、自分たちの立ち位置を教えることによって、彼らのアイデンティティを確認させてくれる物語なのです。


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鏡を通して - TROUGH A GLASS -

第一回目「ルカ文書への招待 (1)」

第二回目「ルカ文書への招待 (2)」

第三回目「ルカ文書への招待 (3)」

第四回目「ルカ文書への招待 (4)」

第五回目「ルカ文書への招待 (5)」